グラウンドと一体になれた瞬間。

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智弘さん 21歳 
 立教新座高→立教大           
 フロリダ野球コーチインターンシップ
 に参加した智弘さん。将来は高校野
 球の指導者を目指す現役大学生の
 彼が、本場アメリカで感じたベース
 ボールについてお聞きしました。




まずはアメリカ野球を体験して感じた事を教えてください。

以前からアメリカ野球には興味を持っていて、テレビや雑誌を通じてメジャーリーグを見てきましたが、実際にアメリカで野球をやってみると、イメージと正反対だったことに驚きました。

アメリカはホームランを打つ練習や、ジャンピングスローでアウトにする練習などを行っていると思ったのですが、実際は基本に忠実した動きを確認することが多かったです。野手であれば、基礎的なゴロ処理であったり、打者であればライナー性の打球を打つ練習だったり。いつになったら派手な練習が行われるのだろう、とワクワクしていましたが、決してそういったスタイルではありませんでした。日本の野球以上に「基本」を大事にしていましたね。


【試合に強いアメリカ人選手】





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日米間のレベルに違いは感じましたか?

はい、感じました。それは、技術的な事ではなく「精神的」な部分でです。日本の場合、練習で選手たちがバテてしまうと指導者が、「このくらいの練習で倒れているようでは、夏の大会を戦えないぞ!」と罵声を浴びせますが、アメリカでは試合でベストを出せれば良いという考えですので、練習中に余計なプレッシャーは感じませんでした。

アメリカでは試合で最大限のパフォーマンスを発揮するための「準備」を練習で行うのだと思います。実際にマイナーチームやアカデミー生と試合を行いましたが、練習では全然打てない選手が、試合になるとまるで別人のように好打者になったり。試合で結果を出せる選手が多かったですね。

'精神的に余裕があるというか、「試合のための練習」というスタイルがアメリカでは根付いているようでした。


【理に適った指導理論】





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アメリカの指導理論はどういったものでしたか?

何事も理に適った練習をしていたと思います。全ては選手が試合で結果を残す事ですので、試合の雰囲気に似せた環境を作り上げていました。例えば、長距離ダッシュは行わず、塁間ダッシュや、長くても野球のプレーで想定される最長距離=ダイヤモンド一周でした。確かにそれ以上長い距離を全力で走る事は野球ではないですからね。説得性があって、選手には伝わりやすいと思います。


【別の心を持ちなさい】





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印象的だったコーチの言葉などはありましたか?

元ヤンキースのコーチが教えてくれた「ベンチとフィールドでは別の心を持ちなさい」という言葉はとても印象的でした。これは好不調に関係なく、どんな状況であれ、打席と守備の時に気持ちをしっかりと切り替え、メリハリをつけるという事です。'''

「ベンチにバットを置いてくるのと同時に打席の心も置いてきなさい。ベンチにグローブを置いてくるのと同時に守備の心を置いてきなさい。」

こういった精神的なサポートとなるアドバイスが、技術指導以上に指導者にとっては大事だと感じました。



【一流選手の"ON"と"OFF"】





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メジャーリーグ球団の視察で感じた事は?

選手たちが作り上げる雰囲気が素晴らしいと思いました。特にニューヨークヤンキースのデレク・ジータ選手は、あれだけの知名度があるのでチームメイトでさえも近寄り難いのかと思っていましたが、実際はその反対でした。彼が若手選手の輪に入り込んで、話の話題を提供したり、バッティング練習中も率先して守備練習に参加したりと、自らが行動でチームを盛り上げて指揮を執っている姿が垣間見えました。

あとは、グラウンドでの"ON"と"OFF"のスイッチの使い分けも勉強になりました。ボールに対する集中力の高さはもちろんですが、休憩中の観客へのファンサービスや、関係者への気配りなど、表情豊かに接している選手たちがとても印象的でした。アメリカ人の国民性も関係していると思いますが、個性を尊重する指導方法が大きく影響しているのだと感じました。


最後に、このインターンシップで得た事は?

野球本来の素晴らしさを感じる事ができました。野球が作り上げる雰囲気というか、綺麗な青空のもとで天然芝の上でできる野球ってすごく幸せでした。自然にグラウンドと一体化になれた瞬間だったと思います。

また、アメリカに行く前は、「指導者になれるといいな」と中途半端な考えでしたが、今回の体験で「指導者になる!」と確信ができました。もっと沢山野球の勉強をして、何年後になるか分かりませんが、アメリカでの経験を生かして一流の指導者になりたいと思います。


【参考HP】BBC野球コーチ留学プログラム